カンボジアを旅してから半年余りが過ぎました。

カンボジアを旅してから半年余りが過ぎました。

現地で出会い、交流の場を持ったカンボジアのお坊さん方が、国の代表として日本で一年間仏教と語学について学ぶために日本にいらしているということを聞いたので、一緒に旅をした仲間と揃って滞在先の広島まで会いに行くことにしました。

 滞在場所は天台宗の寺院で、私たちが到着すると、全身を黄色い衣でまとった懐かしい顔ぶれが出迎えて下さり、共に再会を喜びあいました。

本堂で、カンボジア仏教、天台宗、そして私たち浄土真宗と、それぞれに名のりは違っていても、同じお釈迦さまの「仏弟子」として生きようとする者が合い集うその空間は、うまく言葉では言い表せない感慨に包まれていました。

 ところで、時は10月の初旬。

日ごとに秋が深まる頃とはいえ、まだまだ暑さの残る日中でした。

ところが、寒さを知らない国から来た彼らには、時折本堂に吹き込む心地よい秋の涼風が、もう既に寒く感じられるということでした。

どうりで、いつもなら右肩を出して涼しそうに身にまとっている衣も、その時はまるでみの虫のように全身をおおい、靴下もはいておられました。

また、日本でもらった長袖の肌着や股引き、中にはセーターを着こんでいる方もおられ、談笑する中で「これからまだまだ寒くなりますよ」と言うと、「これ以上!? 勘弁してほしい〜(>_<)」と、誰もが感じる言葉の壁よりもむしろ気候の方に不安を感じておられるようでした。 そんなほのぼのとした時間が流れる中、カンボジアで聞いたお坊さんの語りかけがふと心によみがえって来ました。 それは「仏教は、親しくなることが目的ですよ」という言葉です。 あらゆる垣根を越えて、違いを認め合い、そしてお互いが歩み寄る世界こそ、仏教が願う世界です。 今回の再会を通して、この願いに向けての歩みを、まずは自分の周りから、そして出来ることから始めてみたいと思ったことでした。

【確認事項】このページは、鹿児島教区の若手僧侶が「日頃考えていることやご門徒の方々にお伝えしたいことを発表する場がほしい」との要望を受けて鹿児島教区懇談会が提供しているスペースです。したがって、掲載内容がそのまま鹿児島教区懇談会の総意ではないことを付記しておきます。