「観光鹿児島の魅力と楽しい旅の選び方」(下旬)故郷を愛する子どもを育てる

観光で大事なことは、地元の農業・商業との連携です。

地域は少しでもお客さんに来てもらい、地域のものを買っていただかないと元気が出ません。

この鹿児島県には日本一のものがたくさんあります。

だから、こういうものを使って新しいブランドを売り出し、それに県外の観光客が触れる機会を作って、次もお客さんがまた来てくれるという仕組みを作っていかなきゃいけません。

鹿児島は北海道などと比べて、新しいお土産が少ないんですね。

もちろん、昔ながらの

「かるかん」

などいいものはたくさんあるんですが、札幌に行きますと、白い恋人などいろんな新しいお土産が出てきます。

ですから、ぜひ新しいブランドを作り出していただきたいとお願いしたいですね。

今、注目のマーケットは道の駅です。

最近は、指宿などに泊まりに行った帰りで、こういう道の駅に寄っていくお客さんが多くなってきています。

なぜかと言いますと、顔の見えるサンプルがあるからなんです。

それが安心を与えてくれるんですよ。

スーパーやデパートの場合、形のふぞろいな品物は店頭に並べられません。

ところが、こういう道の駅では、規格外の形でも売ることができ、生産者が値段をつけることができます。

少しでも新鮮な物が安く買えるということで、こういう所が今非常に流行っています。

これは、日本人の心理ですね。

野菜などの食べ物に安心安全が求められているんです。

例えば、川辺(かわなべ)の道の駅では、豆腐を作って売り出しています。

実は、これがものすごく売れるらしく、豆腐を10丁買うために、わざわざ川辺まで行く人もいるそうです。

このように、これからの農業は、形が悪くても安心安全な物が喜ばれる。

ということは、これも観光とあわせて進めていかないといけないですね。

次に、これからの地域作りとマーケティングの話です。

消費で重要なのは、やはり女性です。

女性に支持を受ける商品じゃないと流行りません。

また、口コミも大事です。

それから、砂浜とか小川、棚田といった人の温かさが伺える田舎の良さも大きいですね。

ただし、これから日本の人口は減少していきます。

若い人も少なくなって、消費もだんだん縮んでいきますから大変です。

だからこそ、鹿児島県としては、百年に一度のこのチャンスを逃さないように、観光で各地の交流人口を増やすんです。

これからの日本は、自分の故郷を愛する子どもたちをいっぱい育てて行かないといけません。

特に昔、田舎で暮らした鹿児島の人は、自分の故郷を非常に愛しています。

ところが、今の子ども達は、小学校、中学校を終えたら高校に入るために親元を離れて下宿したりします。

本当の意味での田舎の良さ、郷土の良さを味わっているのかどうか。

九州新幹線の全線開通を契機に、積極的に生かさなきゃいけないと思います。