「人生、好んで楽しもう」(上旬)「笑点」に出る人はみんな楽しい変わり者

======ご講師紹介======

三遊亭好楽さん(落語家)

☆演題「人生、好んで楽しもう」

6月のご講師は、落語家の三遊亭好楽さんです。

昭元21年東京生まれ。

昭和41年に故林家正蔵に弟子入りし、昭和56年に真打ちに昇進。

その後、日本テレビ「笑点」で大喜利メンバーに選ばれる。

昭和58年、師の林家正蔵の死去により、三遊亭円楽一門に移籍。

このとき三遊亭好楽とした。

一度「笑点」を降板するも、3年間の修行を経て、昭和63年に復帰。

現在もレギュラーとして活躍中。

テレビやCMにも出演し、全国的に講演を行う。

講演会では得意の話術を用いて「生きる喜び」を伝えている。

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面白いことがあると楽しいでしょう。

変わってる人というのは、なんか面白いんですよね。

私の場合も、子どもの自分から、変わっていたと思います。

私が子どもの頃ですと、大きくなったら、何になりたいかと聞かれたら、野球選手が人気ナンバーワンの職業でした。

ところが、私は変わってまして、先生とはこんなやりとりをしていました。

「お前は大きくなったら何になりたいんだ」

「天皇陛下です」

「何」

「天皇陛下になるんです」

「お前は変わり者だな」

という感じです。

友だちは

「ばかじゃねえか」

と笑ってました。

私は家に帰って、

「先生から将来何になりたいかって聞かれたから、天皇陛下になりたいって言ったんだけどさ、おれもなれるのかな」

と尋ねました。

それに対して

「うーん、家庭の事情で無理他」

と答えたのが、当時まだ元気だったお袋でした。

お袋も変わった人でしたね。

例えば、街をみなさんと一緒に歩いていて、誰か一人転んだとします。

人が転んで楽しいはずはないですよね。

「大丈夫ですか」

「おけがはありませんか」

と言うでしょう。

それが人情ですよ。

「ざまあみやがれ」

という人はいないですよね。

さて、その人が立ち上がって

「大丈夫です」

と言って、また一緒に歩き始めたとします。

ところが、また転んじゃいました。

2度転ぶというのは、よっぽどついていない人ですね。

それでも、みなさんなら優しいから、気の毒にと言って心配するでしょう。

ところが落語家、ましてや

「笑点」

に出ようという楽しい人間はみんな変わり者ですから、同じことは絶対言いません。

最初は

「大丈夫か」

と言って心配しますけどね、2度転んだ時は言わないんです。

「さっき転んだときに起きなきゃよかったのに」

とか言うんですよ。

年中面白いことばかり考えてる連中ですから、何か面白いことを言わなきゃと思っているんです。

変わってるでしょう。

さて、面白い人といえば、お酒飲みの酔っぱらいですね。

年がら年中奥さんに怒られてるんですよ。

そんな亭主にとって、奥さんに言われて一番嫌な言葉って、何だと思いますか。

それは

「あなた、また飲んできたの」

だそうですよ。

そんなこと言われると亭主は

「悪かったな」

なんて言いませんよ。

お酒の勢いを借りて

「バカやろう。

また飲んできたって言うけどな、男にはおつきあいがあるんだよ。

くたくたになって帰って来たってのに、何のねぎらいもなく、文句を言うのは許さない。

お前の顔なんて見たくもないから、酒持って来い」

って言って、焼酎をがぶがぶ飲んじゃうんですよ。

利口な奥様はそんなことは言いません。

帰ってきた亭主が酔っぱらっていたら怒っても損です。

やっぱり元気に働いてもらって、次の日も気持ちよく出発してもらった方がいいんですから、腹の中が煮えくりかえっても絶対に怒ったらいけません。

亭主だって怒られるのを覚悟してます。

だから、そこで逆に優しく迎えてあげるんです。

食べさせたり、飲ませたりしても身体に毒ですから、水飲ませてご機嫌で寝かせちゃいましょう。

優しくねぎらわれたら、悪い気はしません。

「明日も頑張ろう」

という気にもなります。

だから、亭主は立ててください。

亭主は大事に使えば、一生使えるんですから。