先日、知人の船に乗せていただく機会がありました。

先日、知人の船に乗せていただく機会がありました。

早朝の出発でした。

丁度その日はあいにくの曇り空。

今にも雨が降り出しそうでした。

船が出航しました。

桜島の方向へ向かって船は進んでいきます。

しばらく走らせて、周りに目をやると、一面霧に包まれて、ここがどこなのか全く分からなくなってしまいました。

建物も何も見えません。

雨も降り出してきました。

風が強くなり、船は揺れます。

私は、一気に不安が押し寄せてきました。

ちゃんと帰ることが出来るのだろうか。

このまま船が転覆してしまったらどうしよう。

いろんな思いが頭をめぐります。

そんな不安のなか、しばらくすると、霧は少しずつひいていき、うっすらと周りの建物や景色が見えるようになってきました。

雨、風も落ち着いてきました。

「よかった~」ほっと胸をなでおろしました。

そして、ちゃんと船は船着き場へ帰ってくることが出来ました。

この船での経験は、「私の人生そのものであるな~」と、船着き場でぼーっとしながら思うことでした。

生かさせていただいている中で、様々な事が日々起こります。

うれしいや良いことばかりではありません。

人間関係の悩み。

大切な人と別れていかなくてはならない苦しみ、病、等々・・・

「生きる」ということは、「生老病死」を四苦と言うように、苦しみ、迷いの連続です。

そんななか、阿弥陀如来さまのお念仏のみおしえに出遇わせていただき、阿弥陀さまが、いつも一緒にいてくださる、いつも私のことを願ってらっしゃるということに、気付かせていただいたとき、不安の中にいる私は、すっと安心感につつまれることがあります。

朝夕、お仏壇にむかい、手を合わせ「南無阿弥陀仏」とお念仏を申す。

そんな日暮しをこれからも大切に、いただいた命を一生懸命生きていこうと思うことでした。

【確認事項】このページは、鹿児島教区の若手僧侶が「日頃考えていることやご門徒の方々にお伝えしたいことを発表する場がほしい」との要望を受けて鹿児島教区懇談会が提供しているスペースです。したがって、掲載内容がそのまま鹿児島教区懇談会の総意ではないことを付記しておきます。