『いのち多くの願いの結晶』(前期)

新しい年を今年も迎えることができたことを感謝することです。

一年前に撮った子どもの写真と現在の姿を比べると1年でこんなにも大きくなったものかと驚くことです。

と同時にこどもの成長とともに自分自身も毎年、年をとっているんだよなあと痛感することです。

地球を含む太陽系は、およそ四十六億年前に誕生したそうです。

そしてこの太陽系の八つの惑星の中で唯一生命体が存在しているのは地球だけだといわれます。

地球は太陽から一億五千万キロメートル離れた軌道を回っています。

この距離の軌道というのが「水」が存在するのにちょうどよかったことから、水をはじめ、生命体をはぐくむ環境がつくられたといいます。

そしてこの地球に、最初の生命があらわれたのは、三十六億年前のことです。

生命をはぐくむにふさわしい環境が整い、そして生命が誕生し、三十六億年を経て、ひとりの人間としての自分が存在しているのです。

いくつもの偶然が重なりあって生命が誕生し、そして今、自分がここに存在し、生かされているということは、あたりまえのことではなく、まさに有ること難しなのです。

この得難い有り難いいのちを今めぐまれていることを心から慶ばせていただかなければならないと思うのです。

我々は様々な縁が重なりこの世に生を受け、そして生まれてからも多くの人々に支えられて生かされています。

両親をはじめ、祖父・祖母、近所の方々等々そして自分の知らない人にいたるまで多くのいのちに支えられて、多くのいのちのつながりの中で生かされているのです。

私が生まれて約半年後に祖父は往生いたしました。

私の誕生を誰よりも喜んでくれたのが祖父であったことを両親から常々聞いていました。

祖父は私が誕生したことを喜んで近所の方々と焼酎を飲んでお祝し、その日の夕方にいつものように本堂での夕方のお勤めを終えて、本堂から庫裏へかえる途中、階段を下りる時に、足を踏み外して腰を強打し、以来寝たきりになりました。

寝たきりになった祖父の横に生まれたばかりの私も寝かされ、大きくなったらこの寺を頼むよと祖父は優しく微笑んでなでてくれていたそうです。

焼酎が好きで囲碁が好きな祖父でありました。

生まれたばかりの当時の私にその記憶はありませんけれども、その祖父の願いや両親の願いを受けて今の私があるのです。

阿弥陀さまは「お願いだから私の名を呼んでおくれ。必ず救う」とはたらき続けてくださっています。

多くの方々の願いの中に生かされ、そして阿弥陀さまの多いなるお慈悲の真っ只中に生かされていることに思いをいたしながら、お念仏申させていただいている身の幸せを慶ぶことです。