命のバトンタッチ(下旬)命に温度がある

最近、小学校によく出かけて、命の授業をします。

そのとき、「命は温かいですか、冷たいですか」と質問しますと、大半の子どもたちが「温かい」と答えます。

私はそこで、

「冷たい命もありますよ。冷たい命というのは、人をだましたり、裏切ったりする人の命です。あなたたちの命は人からどう思われていますか」

とお話しします。

そして、『私の妹』という絵本をみんなに読み聞かせます。

これは、

「私の妹が、学校でいじめにあって、学校に行けなくなって、いじめた人たちはそのことを忘れて中学生、高校生になっていく。でも妹は心を開かない。一生懸命家族が心を開こうとするけれども、妹は心を閉じたままやがて亡くなっていく」

とうお話です。

そのとき、「いじめた人たちの心は温かいと思いますか、冷たいと思いますか」と問いかけます。

そうやって命に温度があるということを、小さいときから教えてあげることが、今とても大事なことではないかと思います。

山下小学校で五年生の授業をしたときに、感想文を書いてきた子どもがいました。

「堂園先生のお話を聞いて、命というものがどういうものかがわかりました。生まれる前からずっと命というものがあり、死んでからもずっと思い出として残り続けるということは、すごいなぁと思いました。死んでしまったら何も残らないと思っていたけれど、死んでしまった人が命の温かい人で、思い出として友達の心の中に残り続けるのなら、私は命の温かい人になって、死んでも友達の心に残り続ける人になりたいです」

とう内容でした。

皆さんは、子どもたちは命のことをわからないのではないかと思うかもしれませんけれども、私の病院では三つ四つのお子さんにも、家族が病気になったときに説明するようにしています。

例えば、おじいちゃんが胃ガンにかかった場合には、絵を書いて「ここにおできができた」と説明します。

それから、

「おじいちゃんは、今このおできと大げんかしているんだ。だから、おじいちゃんが勝つようにあなたもお手伝いしてくださいね」

というふうに話をします。

そして、病気が進んでしまって、

「残念だけどおできが勝ってしまいそうだ。おじいちゃんはもしかしたらおできに負けてしまうかもしれない。そうなるとどうなりますか」

と質問すると、「死んでしまう」と答えるんですね。

多くの子どもたちは、親が電話で病気のことを話しているのを聞いています。

でも「どうして私には教えてくれないんだろう。どうして私はのけ者にされるんだろう」というふうに、大人に対して不信感を持ちがちです。

ですから、小さいお子さんやお孫さんがいらしたときには、うそはつかないで、ちゃんと説明してあげるようにしていただきたいと思います。