『手を合わせたらケンカはできない』(前期)

私がお預かりしているお寺では、毎朝、本堂において『正信偈』のお勤めをいたします。

まず、阿弥陀さまの前での合掌・礼拝から朝がスタートします。

合掌・礼拝(らいはい)は、左右の掌(たなごころ)を合わせて、仏さまにご挨拶する時の作法です。

指はすべてまっすぐに伸ばし、胸前で合掌します。

その手は身体に対して、だいたい45度前方にかたむけます。

そのまま合掌の姿勢を保ちながら上体を前方におよそ45度かたむけて礼拝します。

このときは必ず両手に念珠をかけて、お念仏を申します。

この合掌の掌(たなごころ)を合わせるというのは、心を静かに落ち着かせて、阿弥陀さまのお心をお聞かせいただくためだといわれます。

そして合掌は、相手に対して友好的で反抗の意志がないことを表す姿なのです。

掌(たなごころ)を離した状態では、いつ何時握りこぶしを作って振り上げるかもしれません。

そういう敵対の心を持っていないことを表すのです。

ですからインドにおいては、今でも合掌して「ナマス・テ」(あなたに敬礼します)と挨拶するのです。

心から信頼しお敬いする阿弥陀さまにその尊敬の心を表すとともに、如来さまの大悲のお心を仰ぎ、つつしんで如来さまのみ教えを聞かせていただきますと、挨拶することが合掌礼拝なのです。

この合掌・礼拝の心をしっかりと今一度見つめ直していきたいものです。