「米軍基地とわたし」(中旬)理想的な安全保障

 よく聞かれるのが、経済の問題です、

「沖縄って基地があるから成り立っているのだろう」

「反対しているのはお金をもっとたくさんもらいたいからだろう」

と言われてしまうのです。

沖縄は日本一貧乏な県だから、基地があることによって生きていけるのだろうと言われてしまうのです。

 いつも県民所得が最下位といわれ、他の県とは背中も見えないくらい大きな開きがあると思われがちです。

ところが、実際に数字を出してみると、それほど大きな開きはないのです。

沖縄県の県民総所得のうち、基地から受けている経済的な利益というのは5%程度です。

税金を払っているランキングでは、沖縄は全国で29位です。

観光産業などもあり、そこそこ儲けていて、そこそこ税金も払っているという状況です。

 また、沖縄国際大学の先生が試算した「1平方キロメートル当たりの土地が生み出すお金の額」というデータがあります。

それによると、基地で使うと9億円であるのに対し、民間の企業等で使うと16億円となるのです。

民間で使った方が経済効率はよいのです。

 経済というのは、人が働いて、物を作って、できた成果物を売ってお金を得るというものです。

基地は消費するだけのところです。

もちろん、働いている人びとはいるけれども給料は私たちの税金から支払われています。

基地の中では、水も電気や光熱費もタダです。

日本政府が米軍に無料で提供しているのですが、これも私たちの税金から支出されています。

 沖縄に基地がある理由としてよくいわれるのは「安全保障」です。

ただし、安全保障の本来の意味について多くの国民がまだ正しく理解していない実情があります。

 安全保障は、軍隊で身を守るだけではありません。

安全保障には、ハードパワーとソフトパワーがあります。

今、アメリカの海兵隊は発展途上国の山奥の学校の修繕を行う人道支援や災害支援などソフトの仕事がほとんどです。

中国もこれらの活動に軍隊を送り込んでいます。

アメリカが引き入れたのです。

 中国はこの動きについて「中国の軍隊はアメリカと中国がアジア太平洋地域の安全保障でより緊密な協力関係を構築していこうという意思の表れである」と評価しています。

 ここで少し考えていただきたいのが、日本の安倍首相が言っている安全保障と中国が言っている安全保障との違いです。

安倍さんは、中国が軍事大国になって、尖閣や領土防衛などの問題が最近厳しくなっている。

だから、日本ももっと軍事力を増強して、アメリカと一緒に戦えるような国にしなければならないと言っています。

日本と中国の政府の考え方は世界観、現状認識がまったく違っているような気がします。

 近年、協同訓練に参加する国々が増えています。

南米やヨーロッパの国々も参加して、人道支援や災害支援の活動に取り組もうとしています。

これらを通じてアジア太平洋地域の安全保障枠を構築しようとしているのがアメリカです。