「お彼岸」とは、どのような法要ですか。

「彼岸(ひがん)」は「此岸(しがん)」に対する言葉で、ともに仏教から出た言葉です。

「此岸」(こちらの岸)とは、私たちの住む世界のことで、仏教では娑婆(しゃば)世界ともいいます。

「娑婆」とは昔のインドの言葉で、堪忍土(かんにんど)とも訳され、耐え忍ぶ世界という意味です。

この世は、耐え忍ばねばならないことがたくさんあります。

浄土真宗のご本尊、阿弥陀如来は、苦悩の世界から私たちを救ってくださる仏さまです。

その阿弥陀如来の救いの世界のことを極楽浄土つまり「彼岸(ひがん)」といっているのです。

『暑さ寒さも彼岸まで』という言葉を耳にすることもよくあるのではないでしょうか。

2017年の春の彼岸は3月17日~23日まで、秋はというと、9月20日~26日となりますが、ではなぜ春分・秋分を彼岸というのでしょう。

『阿弥陀経』という経典の中に

『これより西方、十万億の仏土を過ぎて世界有り、名づけて極楽と曰う』

とあります。

ここから阿弥陀仏の極楽浄土の世界(彼岸)を西の方角で表すようになりました。

春分・秋分の時には、太陽が真東から昇り、真西に入ります。

この日は、西方へ沈む夕日に阿弥陀如来の極楽浄土を感じ、『彼岸』と呼ぶようになったのです。

さきほどお伝えした『阿弥陀経』には、次のようにも示されてあります。

『その土(極楽浄土)に仏有す、阿弥陀仏と号す、今現に在して説法したまう』

阿弥陀仏は、いま現に説法しておられます。

『苦悩の人々よ、我にまかせよ、必ず皆を救い摂る』

阿弥陀仏の誓いは念仏の声となって、今もこの世界に響き渡っているのです。

彼岸は、苦しみの絶えない私たちの人生の意味を知り、阿弥陀如来の救いを賜り、仏法をきかせていただくご縁として、法要を勤めていただきたいと思います。