平成30年4月法話『手を合わす 親の姿に子が学ぶ』(後期)

ある春のうららかな日、数人の女の子に出会いました。

見ると、地面を這うようにして何か探し物をしている様子です。

立ち止まって「何を探しているの」と聞くと、「四つ葉のクローバーを探しているの」と。

その熱心さからして、大人心に「四つ葉を見つけてどうするの」と聞いてみると、口を揃えて「幸せになれるのよ」という答えが返ってきました。

私は、わずか4・5歳の子どもが必死になって求める「幸せ」という言葉に、とても興味を覚えました。

そこで、子どもたちと一緒に四つ葉のクローバーを探しながら、それぞれの「幸せ論」を尋ねてみると、一人の子どもが当たり前のような顔で、「ナモアミダブツと仏さまに手を合わす時だよ」と言いました。

思いがけない返事に、私はぴっくりしてその訳を聞いてみると、その子の家庭では夕食前に、必ずみんな揃って仏さまにお参りするとのことでした。

そして、最後にお母さんが「今日もみんな元気で一日を過ごせて幸せでした。ありがとうございました。ナモアミダブツ、ナモアミダブツ」と言ってから、夕食が始まるのだと教えてくれました。

「親の姿を見て子どもは育つ」という言葉がありますが、まさにその通りだと思います。

夕食前に家族揃って仏さまにお参りをするという、毎日の何気ないことの繰り返しの中から、その子は親の姿を通して、大切なことを学んでいたのでした。

本当の幸せとは、いかに時代が変わろうとも決して変わることなく、いつでも・どこでも私の中にあって、終始より添ってくださる、「南無阿弥陀仏」の仏さまのお心に出会いながら生きていくということなのではないでしょうか。