ご講師:堂園晴彦さん(堂園メディカルハウス院長)
二十世紀は戦争の世紀でした。
これは、男の時代、競争の世紀ですね。
しかし二十一世紀は女性の時代にならなければならない。
そうならなければ、特に日本は救えないと思っています。
それはどういうことかというと、二十一世紀は命の時代になってほしいんです。
命というものが一番わかるのが女性です。
それは、母親になろうとなるまいと、女性が遺伝子の中に持っている思いが芽を吹かなければ、殺伐とした日本になるような気がします。
マザー・テレサのところに行きまして、彼女がなさっていることは、「一人とひとり」ということでした。
目の前の人に手当てをする、ただそれだけのことをコツコツなさっていました。
マザー・テレサは、インドのカルカッタで活動を始めてから、二十年間一度も国外に出てないんですね。
二十年間、インドの中だけで活動されていたんです。
私はそのことに非常にびっくりしました。
私たちはちょっと有名になったりすると、すぐその気になってしまいがちですが、彼女はそういうこともなく、ただコツコツなさっていました。
マザー・テレサは、「これはお母さんのやり方だ」というふうに話されていました。
そして、「お母さんというのは家庭の心、家族の中心でなくてはならない。そして、そこにいるだけで安らぎと喜びと希望をもたらす存在、それがお母さんである」というふうに言われていいます。
マザー・テレサはクリスチャンですので、結婚しておりませんし、当然お子さんもおりません。
でも彼女は「マザー」と呼ばれておりました。
まさに二十世紀を代表するお母さんでした。
マザー・テレサの映画を作られた千葉監督が、彼女に「お父さんはどのような存在ですか」とお聞きしたら、
「お父さんは家族を支える大事な使命がある。しかし、その中でもっとも大事なことは、正義を愛することだ」
とお答えになられたそうです。
さて、私たち男は正義を愛しているでしょうか。
私たちの国は父親となる存在がいて、その父親となる存在が正義を愛しているでしょうか。
私は最近、国に頼るのではなくて、国民、つまり人に頼るというふうに思っています。
皆さんも、お母さんというのは家庭の心で、そこにいるだけで安らぎと喜びと希望をもたらす存在、お父さんは正義を愛する存在であるということを、ぜひ自分と照らし合わせながら考えていただきたいと思います。