お仏飯を朝供えて午前中に下げるという作法は、主食のお米が食べられる喜びと感謝を、まず仏さまに報告することが習慣になった作法です。
昔は現代のように毎日お米が食べられるということはありませんでしたので、お米が食べられるということがとても幸せなことだったのです。
ですから、亡くなった故人への食事という意味合いではありません。
最近はパン食も増え、必ずしも朝ご飯を炊くとは限らなくなりました。
そんな場合、朝でなくても、ご飯を炊けば必ず真っ先にお仏飯としてお供えするように心がけてください。
毎日というように義務的に行うのではなく、ご飯を炊いた時には仏さまにお供えし、お参り後に下げていただくという習慣が大切なことと思います。
お仏飯をはじめ、お供え物というのは心情的には如来さまやご先祖に「食べていただく」ようにお供えしているようですが、むしろ、主食となっているご飯をはじめとして、私たち自身が生きていく上で欠かせない物であります。
そうしたいのちの恵みを、如来さまのお恵みとして心から慶び、感謝する気持ちが大切なのです。
ちなみにお仏飯をお供えする時は、仏飯器と呼ばれる専用の器に蓮のつぼみ形に盛り、ご本尊前の上卓(うわじょく)という机、あるいは仏飯台に置きます。
お仏飯には前述いたしましたような意味合いがありますので、過去帳や位牌の前に供えるものではありません。
また、よそからいただいた物も如来さまにお供えする習慣をつけましょう。
そして如来さまからの「お下がり」としていただくところに、物の有り難さもしみついてくるというものではないでしょうか。