なぜ、仏さまにお参りする時には香を焚くのですか?

お香を焚くというのは香りでもって仏前を荘厳する大切な作法です。

お香は体臭などの悪臭を除き、心身ともに落ち着かせてくれることから、これを仏前にお供えすることが早くから行われてきました。

かぐわしい薫りで清々しい気持ちになり、心からお敬いする阿弥陀如来さまに接してきたのです。

お香の薫りはその場にいる全ての人々に差別なくゆきわたります。

そのお香の薫りを通して清らかなお浄土を想い、さらには阿弥陀如来さまの全ての人々にわけへだてなく注がれるお慈悲の心に触れさせていただくのです。

お香の種類として一般家庭においては線香と焼香用のお香ぐらいだと思います。

いずれも香炉にくべるものですが、香炉にも種類があり、使いわけられています。

線香の場合は、土(ど)香炉(こうろ)と呼ばれる口の広い陶磁器製の香炉に燃やします。

この時、線香は立てずに、短く数本に折って横に寝かせます。

また、法事等の際に行う焼香は、ふたのついた金属製の金(かな)香炉(ごうろ)を使用します。

つまり、火種を入れて使用するのが金香炉なのです。

時々、金香炉で線香を燃やす方がおられますが、金香炉では口が狭く、形の上からも線香を寝かせるには適していません。

どうぞ線香は土香炉でご使用下さい。

ただ、いわゆる回し焼香など大勢の方が焼香する場合、お仏壇の金香炉では小さ過ぎることがあります。

そんなときは土香炉を代用されてもよいでしょう。

なお、回し焼香をされる場合は、お盆を用意し、その左側に香炉を、右側にお香を入れた香盒(こうごう)といわれる容器を置きます。

焼香に使うお香には、沈香、十種香、五種香等がありますが、できるだけ香りのよいものを選んでご使用下さい。