昨年から多くのメディアで取りあげられ、全世界的にも報じられたアメリカ大統領選挙。
1月初旬、ミシェル・オバマ前大統領夫人が最後の公式行事に参加された際、移民に排他的な発言を繰り返してきたトランプ大統領を念頭に多様性の重要さを訴えたことがニュース等でも報じられました。
その中で「信仰・人種・信条の多様性こそ、誰にとっての脅威でもなく、我々を形作っているものなのです」と発言されました。
ミシェル夫人自身が、黒人貧民街で奴隷を先祖に持つ労働者階級の家に生まれ育ったそうです。
この発言にどれほどの思いや願いが込められていたのでしょうか。
夫人は公式な演説の場で、度々、人種差別に触れられた事でも話題でしたが、ある時「恐怖心は我々の判断力を鈍らせ、家庭でも地域社会でも、世界でも、我々を分断してしまう」と発言されていたことを思い返しました。
さて国内に目を向けますと、昨年末に国民的アイドルグループ「SMAP」解散が大きな話題となりました。
解散理由については様々な報道がなされ、人間不信や対立などの憶測が飛び交い、今もワイドショーなどで報じられています。
全てが真実でないと分かっている人がほとんどなのでしょうが、個人や人間性への意見、グループ・会社、はたまた家庭や友人関係まで巻き込まれ、批判されるような報道を見ると、現代の社会情勢や人間関係を表しているかのような虚しさを感じてしまいます。
私が「SMAP」と聞いて一番に浮かんでくるのは、『世界にひとつだけの花』です。
なぜかといいますと、この歌は作詞者の槙原氏が仏教との出会いによって書きあげられ、さらに『仏説阿弥陀経』の「青色青光、黄色黄光、赤色赤光、白色白光」という一説が元になっているとも語られていたからです。
『仏説阿弥陀経』といえば、浄土真宗のご法事ではよくお勤めされるお経ですので、ご存じの方もおられるのではないでしょうか。
お浄土に咲く蓮の花。
そこではそれぞれがそれぞれを認め合い荘厳なるお浄土で咲き、光輝いていることが語られています。
一人ひとりは、他と対立することがなく、それぞれが輝いている姿がそこにあるはずです。
しかし、私たちの日暮しはどうかと考えてみますと、他の人よりも優れたものをもっていることが輝くことであり、そこに向かって競い合います。
時には相手を突き放し、傷つけ、自分だけが輝くことができればいいと思ってしまうこともあるでしょう。
しかし仏法をきかせていただくとき、互いに傷つけあうのではなく、つながりあって生かされていることに気付かされるはずです。
一人だけではない。
つながり「縁」の大切さを知るからこそ、他を認め、お互いを認め合う世界が広がっていきます。
「平等心 違いを認め合う心」
「違い」を「恐怖心」で見てしまうと、家庭・世界・社会の全てにおいて分断がおき、近しい関係であっても争いがおきてしまいます。
「違い」を認め合い、お互いの輝きに気付き合う心があれば、そこにはなんの差別も隔たりもなく、争いも起きないはずです。
それこそが、仏さまのお心なのではないでしょうか。
南無阿弥陀仏