CAMBODIAN WEDDING(後編)

前回、5月前期のお気楽コラムからの続きです。

カンボジアで初めて参加する外国での結婚式。

早朝5時にホテルをチェックアウトすると、ロビーには今日結婚式を挙げるはずの新郎自らがお友だちと共に車で迎えに来てくれていました。

驚いた私は、「えっ!?来たの?いろいろ準備とか家にいなくて大丈夫なの?」と彼に尋ねました。

すると彼は笑いながら「大丈夫!結婚式は昨日した。

今日はパーティー」(お互い片言の英語でやり取りしている場面を想像しながら読んでください。)

聞けば、カンボジアの結婚式は短くても2日、普通は3日、長い人で4日かけて行う場合もあるそうですが、数日に渡って行われることにまず驚きました。

1日目は近くのお寺に行って、いわゆる仏前結婚式。

カンボジアの仏教は「Buddha」、お釈迦様をとても大事にします。

どの寺院にもお堂の中心には大きなお釈迦様の座像が安置してあり、そのBuddhaの前で僧侶らに読経してもらい、結婚を誓います。

家族、親戚はもちろん、友人や全く見ず知らずの人たちまでもが二人を見守り、笑顔で祝福します。

「仏教徒はみんな友だち」さすがは仏教の国、カンボジア。

さて、迎えの車に乗り込み、早朝の心地よい空気の中、新郎と共にプノンペンを出発。

車の中ではこれまでの色々な思い出話など懐かしくふり返りながら彼の村へと向かいました。

彼はカンボジア仏教を代表する僧王の側近として長い間仕えていました。

僧侶という身分を離れた現在はプノンペンの大学で講師を務めていますが、今も僧王直々に仕事のお手伝いをお願いされるなど、まさに側近中の側近であります。

その僧王を昨日故郷の村に招き、村の人たちのためにと彼自身が私財を投じて建立した故郷のお寺で、僧王による司婚、立ち会いの中で結婚式を済ませ、私が参加させていただく今日が2日目、自宅に友人らを招いての結婚披露パーティーが行われる日です。

出発して約1時間。

大きな道路から横道に入り、土のデコボコ道をしばらく行くと、川幅の広い大きな川が目の前に広がってきます。

これがあの有名なメコン川。

チベット高原に源流をもち、中国雲南省、東南アジアからインドシナ一帯を網の目のように縦横に流れる国際河川。

このメコン川の両岸を結ぶ小さな渡し船に今度は車ごと乗り込みます・・・が、写真のように桟橋なんてものはありません。

川岸の土手が坂になっており、この土手を駆け上がるが如く、豪快に勢いよく船の先端をダイレクトに着岸させます。

向きが悪かったり、川の流れの影響を受ける時には何回もやり直すのですが、その度に大きな衝撃が船全体に伝わり、船頭さんも必死ですが、乗る側も命懸けです。

そしてようやく着岸。

人やバイク、車もトゥクトゥクも、時には牛や犬たちまでもが続々と降りては、そしてまた続々と乗り込んでいきます。

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定員?積載?そんなことはお構いなしです。

アジアのルール、「乗れるだけ」「積めるだけ」は今も健在。

これにすっかり慣れてしまっている自分にも驚きですが、一番はじめにこの光景を目にした時の驚きとスリリングな航海は今でも忘れません。

そんなこんなで大きな大きなメコン川を渡り、着岸したところが彼の故郷サンボー村。

メコン川流域に広がる豊かな田園地帯の中に赤土の一本道がどこまでも真っ直ぐに伸び、その道路の両側にカンボジア特有の高床式の家々が並ぶカンボジアの田舎の風景。

子どもたちは裸足で走り回り、牛ものらりくらりと村や畑を自由に行き来する、そんなのどかでゆったりと時間の流れる村に朝7時半頃に到着。

彼の自宅前にはカラフルに装飾されたテントが道路にまで軒を連ね、これから何かが始まろうとしている雰囲気と期待感が伝わってきます。

日本から壊れないように注意して持ってきた妻手作りのウェルカムボードも飾ってもらい、ゴルフでもこんな早い時間にスタートしたことのない朝8時、カンボジアの結婚式2日目ががいよいよ幕を開けます。

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次回、CAMBODIAN WEDDING完結編。

「たった一人の日本人」、「いつまで続く?儀式、そして儀式、また儀式」、「カンボジア版エンタの神様」など、またお気楽に書かせていただきます。

(2015年5月前期掲載予定)

【確認事項】このページは、鹿児島教区の若手僧侶が「日頃考えていることやご門徒の方々にお伝えしたいことを発表する場がほしい」との要望を受けて鹿児島教区懇談会が提供しているスペースです。したがって、掲載内容がそのまま鹿児島教区懇談会の総意ではないことを付記しておきます。