つなぐ、伝える

季節が冬になると、各地で行われる駅伝を見るのが楽しみです。各チーム、各選手がそれぞれの目標に向かって練習を行い、体調を整え本番を迎えることと思います。思い通りに走ることができる選手もいれば、天候や思いがけないアクシデントで思い描いた走りができない選手もいる中で、それぞれの選手に共通していることは、「チームのためにタスキをつなごう」と、懸命に走っている姿です。その姿に感動とともに大切なことを教えられている気がいたします。

ここ数年、新型コロナウイルスの影響で、人々の生活スタイルも大きく変わり、お寺も法事や通夜・葬儀などに変化ん゛生じていることを感じます。

私のお預かりしているお寺では、以前年回法要は家族、親戚が集まり勤められていました。ところが、コロナ禍を契機として家族のみで勤められることが多くなったり、毎年ご先祖のご命日に参詣しておられた方の姿が見られなくなったりもしました。今後、感染状況が収束して以前のような状態に戻るかというと、そう簡単にはいかないような気がしています。

新型コロナの感染拡大によって、人と人とのつながりが希薄になったという声を聞きますが、仏縁(仏教の教えにであうご縁)も希薄にならないようにしなければと思います。

過疎化、核家族化などで、今後のお寺のあり方がよく問われます、それに加えてコロナ渦で生活スタイルの変化もあり、様々なことが移り変わる中で、変わることのない仏教の教えを正しく、わかりやすくお伝えしていく・・・。

駅伝の選手達がチームを思いタスキをつなぐために懸命に走るように、仏教の教えが次の世代に伝わるために何ができるのか、真剣に考えながら教えを伝えていきたいと思います。

浄土真宗の宗祖・親鸞聖人の「世の中安穏なれ、仏法ひろまれ」のお言葉が身に染みます。聖人の願いを、すこしでも実践することができるように、日々精進してまいりたいと思います。

【確認事項】このページは、鹿児島教区の若手僧侶が「日頃考えていることやご門徒の方々にお伝えしたいことを発表する場がほしい」との要望を受けて鹿児島教区懇談会が提供しているスペースです。したがって、掲載内容がそのまま鹿児島教区懇談会の総意ではないことを付記しておきます。