昨年の寺の盆踊りでのことです。
寺の盆踊りといっても、
以前のように櫓を組んで、みんなで櫓を囲んで丸くなって踊るのではなく、ステージを設置して、地域の子どもたちや学校、グループの方々が踊りや、いろんなパフォーマンスを見せてくださる地域の行事として開催しています。
でも、一番最後には、櫓はありませんが、みんなで丸くなって輪を作って、昔ながらの「ぼんおどり」の曲を踊るのです。
みんなで輪になって踊るのは、やはりいいですからね。
この盆踊りにスタッフとして参加してくれた地域の青年会の若者が、終わった後の懇親会(飲ん方)の時に
こんなことを言ってくれました。
「子どもから大人まで、地域のいろんな人たちが、いろんな踊りやパフォーマンスをしてくれて、する人も見ている人もみんな楽しそうで、とてもよかったです。
でも、僕が一番印象に残っているのは、最後の『ぼんおどり』です。
他のダンスと違って、『ぼんおどり』は、みんなで丸く輪になりました。
そして踊りの中で何回も、前を向いて手を合わせました。
あっ、これすごくいいなあと思ったんです。
踊りの中で自然と手が合わされて、そして前にいる人の背中を拝んでますよね。
そして、あとからハッと気づいただけど、僕は前の人を拝んでいる。
そして僕の後ろの人は僕を拝んでいる、それが一つの輪になっている。
これってすごいことだなって。
みんながお互いに手を合わせて拝んでいる。
真っ正面からじゃなくて、後ろから拝んでいる。
相手は気づかないけど、拝んでもらっている。
僕たちは、そうして本当は拝まれて大切にしてもらっているんじゃないか。
それが輪になっている。
これすごいよなあって。
鳥肌もんですよ。
ねえ、住職。
これが仏様の教えなんですかね。
だったらすごいですよ、
踊りというパフォーマンスの中で、楽しみながら、大切な教えを教えてくれているんですもんね。
手を合わせて、お互いに拝みあう、そしたらみんなが一つの輪になれるよって、この輪って、平和の和ですよね。
いまから、これ、このパフォーマンスもっとアピールしませんか!!」
気持ちよく酔いながら、楽しそうに話す彼の言葉に、ことばを挟む必要もありませんでした。
私が言った言葉は、最後に
「よっしゃ、じゃあ来年の盆踊りでも、これアピールしようか」
だけでした。
そして、彼の話を聞きながら、以前鹿児島教区で、非戦平和の集いに参画していた時に、先輩僧侶が、これうちの門徒さんが考えたんだよねって言って紹介してくれた言葉を思い出していました。
「両手をつなげば武器なんか持てない」