あなたは、日常の生活の中で、いろんな方とお話をされると思います。
私もいろんな方とお話しますし、まわりの方々がお話をしている風景を日々目にします。
そんな中、こども園の活動の中で、子どもが『物』に話をしている様子をみることがあります。
私が園長をしているこども園には、25年ほど前から園庭にディズニーの小人のキャラクターの石像があります。
元々は色がついていたのですが、戸外にあるため、雨に濡れたり風にあたったりするうちに経年劣化によって色が落ちていきます。
そのため、これまで色が落ちたら何度もペンキで色を塗り直したりしてきました。
ペンキを塗ってきた私としては、色落ちするたびに『あぁ、また色がおちてきたなぁ、大変だ。塗るの面倒だなぁ・・・』と思っていました。
ところが、ある時、石像の鼻の部分が色落ちしてきた小人の石像に話しかけている子どもの姿を目にしました。
『小人さん大丈夫? お鼻をケガしてるよ。転んだの? よしよししてあげるね』
その光景を目にした私は、『なんてやさしい子なんだろう』と思いました。
そして、それと同時に『同じ物をみて思う気持ちも、心のありようで随分違うものだなぁ』と思いました。
子どもは小人に対して、他を慈しむ素直な心をもって接しているのに、自分はあくまでその小人の石像は『物』であり、『大丈夫?』なんて思いもしません。
それどころか、『ペンキ塗るのめんどくさい』とまで思うのですから、なんだか自分が黒い大人になってしまったような気持ちがして、その子どもの声かけの姿を通して、やさしさをもらった気がしました。
こういった子どもの純粋でやさしい気持ちは、大人になることと引き換えに失われてしまうようです。
同じ物をみていても、全然違う気持ちがわきあがってくる。
『だから、理解できない』とかではなく、やはり子どものその気持ちに寄り添いながら、『ほんとだね、痛いかもしれないね、でも「大丈夫」って声かけたら、元気がでるかもね』と、このような気づきを子どもたちの心を育てていくご縁にしていけたらと思うことです。
あなたも、ちょっとだけ心もちをかえてみて、いろんな景色を目にしてみませんか。
子どもからもらった癒しを糧に、これからの一年、心も新たに頑張っていきたいと思います。