LGBTQ学習会を通して

先日、鹿児島別院にて「多様な性を知る LGBTQ学習会」が開かれました。LGBTQということについて耳にしたことはあったのですが、ほとんど知識がありませんでした。ですがこの研修を通して正しく知らなければならない事柄だと感じました。

LGBTQとは5つのセクシャリティを表し、心の性、身体の性、性的指向の3つの視点から男性、女性と単純に分けることのできないセクシャリティの状態を言います。Lはレズビアン(女性同性愛者)、Gはゲイ(男性同性愛者)、Bはバイセクシャル(両性愛者)、Tはトランスジェンダー(性別越境)、Qはクエッショニング(性別不明)と表し、実際はこの5つ以外にもっと多くのセクシャリティの状態が存在すると言われています。

いずれも、日本社会においては性的マイノリティであり、生活上の問題を抱えています。ちなみにマジョリティー側(心の性→男性、身体の性→男性、性的指向→女性 もしくは 心の性→女性、身体の性→女性、性的指向→男性)は「ストレート」と呼ばれています。

LGBTQの方々が日本社会の中にどのくらいいらっしゃるかと言いますと、13人に1人(7.6%)と言われ、かなりの人数がいらっしゃることが分かります。しかし、LGBTQの方と普段からお付き合いがあるという人がどれくらいいるかと言うと、まだまだ少ないというのが日本社会の現実です。

それはなぜかというと、当事者の中に自分がLGBTQであることを隠しながら生活していることが挙げられます。なぜ隠すのかでしょうか、その原因の一つが私たち多数派「ストレート」の認識不足です。ストレートにとってLGBTQの方々のことを正しく知らなければ、それは「病気」として見てしまう可能性があります。LGBTQの方々にとっても自分がLGBTQだと告白することで自分から離れていく人がいるのではないか、受け入れてもらえないのではないか、という不安が常に付きまといます。これは友達であっても家族であっても同じあり、自分に親しい人ほど高い壁として立ちはだかります。

ご講師の先生もご自身がトランジェンダーであり、女性として生まれ育ち、その中で違和感を感じながら、自身の心は男性であることを自覚していったそうです。そして、そのことを母親に告げるときはとても勇気がいり、いざ言おうしても言えなかったと言います。結果として母親に伝えることができ、また母親もそれを受け入れてくれて心が軽くなったと語っておられました。

日本社会において、LGBTQへの理解や対応は不十分であり、当事者たちは差別的な扱いを受けることが少なくありません。これから、当事者によるさらなる啓発と日本社会(私たち一人ひとり)の歩み寄りが必要になってきます。ご講師の先生が「LGBTQが当たり前の個性として存在すること」「みんな同じ日本で生活する社会の一部であること」を深く考えさせられるご縁でした。

【確認事項】このページは、鹿児島教区の若手僧侶が「日頃考えていることやご門徒の方々にお伝えしたいことを発表する場がほしい」との要望を受けて鹿児島教区懇談会が提供しているスペースです。したがって、掲載内容がそのまま鹿児島教区懇談会の総意ではないことを付記しておきます。