2020年8月法話 『平和 大切なのは心の抑止力』(前期)

新型コロナウイルスの影響で大変な毎日が続いています。

私の住んでいるところは、新型コロナウイルスに感染された方は少ない田舎地域です。そういうこともありご法事も比較的これまでと変わらず勤める方が多いように思います。

お参りにいらした方との話題といえば、やはり新型コロナウイルスのことになります。話をしているなかで見えてくるのは、コロナにかかって病気になること以上に、コロナにかかると周りから大変な非難を受けることを恐れているということです。

実際、少し離れた町で感染疑いの方が出た時も、相当な非難があったということを耳にしています。かくいう私も口にこそ出しませんでしたが、心の中でその方のことを非難していました。

私の近くには100歳を超える祖母や病気がちの父がおり、僧侶という仕事柄、高齢の方と多く接しますので、そういう心配から現れた思いでした。

この新型コロナウイルスが教えてくれたのは、ウイルスより恐ろしい私の心でした。

浄土真宗が大切にしている仏さまを阿弥陀仏といいます。この仏さまは、そんな危うい私に、ああしなさい、こうしなさいとは言わず、そのまま包み込み、ともに生き抜くとおっしゃる仏さまです。

この仏さまの心をお慈悲といいます。このお慈悲がザワつく私の心の抑止力となっているように思います。

どこまでも寄り添ってくださる仏さまを少しでも悲しませないようにと生活できたらなと思っています。

合掌