タレント 西川ヘレン さん
私はお出かけした時は、いつもおじいちゃんおばあちゃんたちにお土産を買って帰るんです。
おじいちゃんは渡すとすんなり受け取ってくれますけど、おばあちゃん二人はそうじゃないんです。
お洋服の場合は特に控えめです。
「もうそんなお金を使わんでもええ。
いつ死ぬかわからへんのやから。
もったいないからいりませんて」と言って、なかなか受け取ってくれません。
結局は受け取って頂けるんですが、そうすると今度はおばあちゃんたちでお互いに見比べて、相手の方が良いものに見えると言ってくるんです。
やっぱりおそろいを買ってくる方が平等なんやと思って、次から同じものを買ってきたら「こら有り難い。
おそろいやないかいな」と、二人ともものすごい喜んでくれはりました。
そうして同じものを着てお出かけするのが、おばあちゃん二人にとっての大きな喜びでした。
娘がまだ小学生の頃でした。
おじいちゃんは二階に上がって寝てました。
主人もまだ帰っていません。
ご飯を食べたその後でいろんな話をしていると、その続きが結婚ということになりました。
パパとママは大恋愛で結婚した。
そんな話が出てきました。
そして今度は主人の両親のところに話が進みました。
そこで娘が、おじいちゃんとおばあちゃんは恋愛なのか、見合いなのかと臆せず聞きました。
すると「見合いでも恋愛でもあらへん。
親が決めた結婚で、顔も見たこと無いけど、あそこへ行けと言われて来たんや。
ほな、おじいさんやったんや」と、昔はそんな結婚もあったということを娘たちは聞かされました。
「おじいちゃんとおばあちゃんはいつもお家でいるときはケンカしてる。
何であれだけいつもケンカしてるのん」とこう言うと、おばあちゃんは「ケンカしてるつもりはないけど、一緒にいるとお互いに言いたいことを言ってしまう。
それが孫たちには、ケンカととられるんやな。
そら悪かった」と謝りました。
「そやけどおじいちゃん、おばあちゃんのことを呼ぶときはいつも『おばあ、おばあ』って言うてはる。
そんでおばあちゃん、聞こえてても怒ってる時は知らん顔してるやないか。
そしたらおじいちゃんは『おい、くそばばあ』って言うてはるやん。
あれ、うちが聞いたら寂しいねん。
パパとママはいつでも仲良うしてはる。
パパが帰って来たら、ママが時々『私のこと今でも好きかっ』て尋ねはったら、パパは『好きやっ』て言うてはる。
おじいちゃんとおばあちゃんもあんな会話したらええのに、なんでせえへんの」と娘が言いました。
私はそれに対して「私と主人は大恋愛やから言える。
ましてや今の人ならともかく、昔の人はそういうことは言わへんものや。
だからおじいちゃんとおばあちゃんも、なかなかそういうことは出来へん」というように言いましたら、娘は普段の私と主人が仲良くしてることを例にあげて「おじいちゃんとおばあちゃんも仲良くできるかもしれないから、やってみればいい」と言いました。
おばあちゃんは「死ぬまでに一度聞いてみる」と言いましたんですけど、娘は引き下がりませんでした。
「もったいない、死ぬまでやなんて。
今日の今、聞く方がもっとええ」ということで、娘に引かれて二階に連れて行かれました。