「法事は延ばすより引き寄せる方が良いと聞いたのですが…」

先日、ご門徒さんから

「去年が三十三回忌だったのですが、ついうっかりしていて、忘れてしまっていました。

今年行ってもよいでしょうか」

という質問を受けました。

そこで

「大丈夫ですよ」

とお答えをいたしました。

一周忌・三回忌等はめったに忘れることはありませんが、月日が経つにしたがってついつい忘れてしまったということは、よく聞くことです。

「法事は延ばすより引き寄せる方が良い」

といわれるのは、ともすると故人のご命日をうっかりと忘れてしまうことのある私たちに

「故人のご命日を忘れることのないようにしなさいよ」

という戒めの意味でいわれている要素が強いようです。

ですから、親族が集まり易い土日に法事を行う場合に、ご命日より前の日曜日より、ご命日より後の日曜日がみんなの都合がよければ、その日に決めて法事を勤めても何ら差し支えはありません。

とはいえ、やはりご法事は本来、故人のご命日に行うことが本義であることだけは、しっかりと心に留めておきたいものです。

なによりご法事は、一人でも多くの方々が仏縁に出遇って頂く大切な場であります。

ご命日以外にお勤めされる場合、故人のご命日の前後を気にすることなく皆さんが集まり易い日を選定し、故人を偲びつつ、私いのちにかけられている仏さまの願いをしっかりと聞かせていただきましょう。