地球温暖化の影響でしょうか。
かつては入学式や入園の時期の花だった桜も、4月の声を聞く頃にはもうほとんど散ってしまうようになりました。
さて、アメリカの著名な哲学者レオ・バスカリーアが生涯にただ一冊書いたと言われる
『葉っぱのフレディ』
は、私たちに生とは何か、死とは何かを静かに問いかけています。
仲間の葉っぱたちが次々と枝を離れる姿に不安と恐怖を覚えたフレディは、たった一枚一緒に枝に残っているダニエルに語りかけます。
「ぼく、死ぬのがこわいよ」と。
すると、ダニエルは答えます。
「そのとおりだね。
まだ経験したことがないことは、こわいと思うものだ。
でも考えてごらん。
世界は変化し続けているんだ。
変化しないものはひとつもないんだよ。
春が来て、夏になり秋になる。
葉っぱは緑から紅葉して散る。
変化するって自然なことなんだ。
君は春が夏になるときこわかったかい?
緑から紅葉するときこわくなかっただろう?ぼくたちも変化し続けているんだ。
死ぬというのも、代わることのひとつなのだよ。」
変化するって自然なことだと聞いて、フレディは少し安心しました。
枝には、もうダニエルしか残っていません。
「この木も死ぬの?」
再び問うフレディに
「いつかは死ぬさ。
でも、いのちは永遠に生きているのだよ」
と、ダニエルは答えます。
やがて時が来て、枝から離れ地面に降りたフレディは、
「いのちというのは永遠に生きているのだ」
というダニエルの言葉を満足感とともに思い起こすのでした。
そして、フレディは土に帰り、新しいいのちを育む力となっていくのです。
私たちは生きている人々とだけ生きているのではありません。
私たちに先立っていった方々とも生きている。
先立っていった人のいのちが、私の中に生きていて下さる、支えていて下さるということを感じることはないでしょうか。
人間は、決して死んで終わりではないのです。
お浄土に帰って仏になり、生きている私たちをいつも照らし導いていて下さる。
それは、あたらいのちの誕生だといえるでしょう。