「生涯トライアウト」(下旬)誰がやるんだ、俺だろ

 そしてプロレスを引退して新しい人生が始まる訳ですが、私の人生は浮き沈みが激しいんです。

 プロレスラーのデビュー直前に交通事故に遭って、全治三年の大怪我を負いましたし、プロレスで成功した一方で事業に失敗して大変な目にあったりもしました。

 しかは、私はミスター・トライアウトですから、こんなところで弱音を吐く男じゃありません。

 なぜなら、多くの方から応援や支援をして頂きながらプロレス活動を続けてきたからです。

 だから、誰かが音をあげても、私は最後まで音をあげないんだという思いで、挑戦を続けます。

 一生懸命やる。

 それしかないんです。

 それが演題の通り、私の人生全てがトライアウトということなんです。

 その新しい道として農業を選びました。

 鶴の飛来で有名な出水市で、一年間農業研修をしたんです。

 私自身が市来農芸高校出身というのもありましたし、実家が農家ということもありましたので、自分の中で農業をやるきっかけとなる要素はいろいろあったと思います。

 しかし、やっぱり私が農業をやろうと最終的に決めたのは、事業に失敗して、これじゃダメだと思っていた頃に起こった東日本大震災でした。

 それが一番の引き金になりましたね。

 真剣に日本の食はまずいことになるんじゃないかと思ったんです。

 それでこういう性格なものですから、

 「誰がやるんだ、俺だろ」

 ということで、完全にスイッチが入りまして、自分自身も新しい道の選択をしなきゃいけない時期でしたので、農業という道を選んだ訳です。

 さらに言えば、農業は自分がこれまで培ってきた体と体力を活かせる場所だったんですね。

 いろんなきれいごとはありますけど、それはまだ結果が出ていないので、これからだと思います。

 今は出水市でプチトマトを中心にいろんなものを作っています。

 農業は大変で、儲からないとか、割に合わないとか、いろいろ言われますし、事実そういうこともあります。

 でも、やるんです。

 自分が作ったものが、少しでも人のためになるのなら、私は嬉しいです。

 生活も大事ですが、私は少しでも社会に恩返しをしたい、少しでも役に立ちたい、自分が生まれてきた意味を見つけたい、そう思っています。

 なぜ自分は今ここに生きているのか、きっと自分には生まれてきた意味や役割があるんじゃないかと思っています。

 この道ではまだまだ新人なので大きなことは言えませんが、まずはご報告まで。

 農業やっています。