さつまの真宗禁教史5月(後期)

出水郷における一向宗徒の摘発―その3―

前回にひき続き「出水に於ける一向宗禁制史料」を意訳して一向宗徒探索の様子を見ていきます。

この春、全員胸替の誓詞を提出して、前非を悔い改めたので当分一向宗徒はいないはずでしたが全く変わることなくさかんです従来の法律を改訂することは困難なことですので、この度身分確かを人物をひそかに隠横目に任じたく、この旨上申しました。

直ちに御許可いただきましたので、早速人物を吟味し衆中三人、町人二人を「隠横目」に任じ御指示の趣を申し含め、当地は勿論、肥後国にも出張せしめ探索させました。

肥後の寺に参詣する者は従前と同様にいるようです。

胸替の誓詞を行ったあとも一向宗徒は以前と変わることなく肥後にひそかに参詣する者もあるとの噂があり、右の三人を交替に出張させて、肥後国の真宗寺院に参詣する者を確認したので左記の通り報告いたします。

(上申書)

隠横目 衆中三人

税所市郎左衛門

石塚弥七兵衛

吉留政右衛門

わたくしたち三人、この八月ごろ信者を装い肥後国水俣に潜入し往来する人物に注目していましたが一向宗徒はいないようでした。

そこで西念寺(水俣市平町)という一向宗の寺に見物人をよそおって参りましたところ、薩摩の人間が三人参詣していました。

わたくしたちに気づき奥座敷に逃げたので名前までは確認できませんでした。