「今年の春は、梅雨でもないのに雨の日が多いなー」
と、思っていましたら、3月中旬頃から4月にかけての菜の花が咲く頃に降る長雨を「菜種梅雨(なたねつゆ)」というのだそうです。
このような言葉があるのですから、特別に珍しいことではなく、この時期には長雨になることも多々あるということでしょう。
この「菜種梅雨」という言葉を知ってから、春の長雨も少し風流なものに感じましたが、報道ではこの春の長雨で野菜は不作により価格が高騰したそうです。
しかし、翌月の5月は打って変わって雨不足で、これはこれでまた、野菜の価格が高騰しているようです。
私などは、天候に対してその時その時の都合で一喜一憂しておりますが、農業を主として生活をされている方にとって、天気は生活に直結している問題であると、あらためて知らされることでした。
数年前に、あるお寺で法話をさせていただいている時、外は本堂の中での声も聞き取りにくいくらいの大雨でしたので、
「今日はお天気の悪い中、ようこそのお参りでした」
と、始めに挨拶しましたら、一番前に座っていらっしゃったおばあちゃんが、
「お天気は悪くありませんよ」
と、ぼそっとつぶやかれたことがありました。
その言葉にハッとさせられて、
「そうでしたね。お天気はわたしの都合で良いとか悪いと言っているだけで、悪い天気ではなく雨のお天気ですね」
と、その方の言葉に、あらためて大切なことに気付かせていただいたことでありました。
この私はすべてのことを私中心に見て、自分に都合の良いものを良しとして、都合の悪いものを悪しとしています。
良い天気も悪い天気も、良い人も悪い人も、みな私の都合であります。
さて、今からが梅雨本番。
私中心の見方しか出来ない私にとっては、うっとうしく感じることが多くなりそうです。