ご門徒の家にお参りに行きますと、お線香を立てている人、寝かせている人さまざまです。
「線香を折るのは何か抵抗があるので立てています」という人もおられました。
また「香炉に入らないので折って寝かせています」という人もおられます。
浄土真宗本願寺派(通称西本願寺)ではお線香は寝かせて用います。
お線香は元は竹の棒にお香の粉を塗ったものが原形といわれています。
これは長い時間お香を焚きたいとの考えから考案されたものです。
京都の西本願寺では常香盤(じょうこうばん)を用いて長時間お香を焚けるようにしています。
そのやり方は香炉の中の灰をほぐして平らにして「コ」の字を交互に組み合わせた形に凹部をつくり、その凹部に線状に香の粉をならべます。
全長約80cmほどになります。
その端に火をつけるとゆっくりと燃え移っていきます。
約9時間使うことができます。
江戸時代初期に線香が考案されることで、これにかわるようになったのです。
線香であればお香の粉をならべていく必要がなく、重宝がられるようになったといわれます。
このように横に寝かせるのが本来的な形ですので、お線香はこれに準じて立てずに香炉の中に適当な長さに折って寝かせるように用いるのです。
立てていると倒れて火事になる可能性もあります。
寝かせて使うようにしましょう