学生時代からお付き合いされていたというご主人を最近亡くされ、今毎週お寺にお参りにみえる女性がいらっしゃいます。
お勤め(お経)が終わった後、いつもお話しをさせていただいているのですが、その女性は、初七日の際「悲しくて、悲しくて、寂しくて、寂しくて、食事も摂ることが出来ません。家にいても泣いてばかりいます」とおっしゃっていました。
ご主人が亡くなられて2週間目、二七日のお参りにおみえになったときも、「一人きりになりました。家の中では泣いてばかり、かといって外出する気持ちにもなれません、悲しくて、寂しいです」と涙されていました。
3週間目、4週間目も同じようなご様子でした。
私は、「愛別離苦(愛するものと別れ離れていかなくてはならない苦しみ)」この計り知れない悲しみにうちひしがれている女性に、「阿弥陀如来さまはどんなときも一緒に悲しんでおられ、一緒に涙してくださっていますよ」。
そして「また必ず会わせていただける極楽浄土を阿弥陀如来さまはおつくりくださってます」というようなお話しをさせいただいていました。
5週間目 五七日のお参りの後に、女性は「実は、私は小さい頃から祖母に連れられて、近所のお寺にお参りに行っていたんです。学生の頃には、仏教青年会にも入っていたんです」と話されました。
そして「もしお経本があるならば購入して、私も一緒にお勤めしたいです」と言われたのです。
大切なご主人を亡くされて、毎週毎週、涙されておられ、もちろん今も悲しみは消えたわけではなく、毎日つらい思いをされていることには変わりはないのでしょうが、一緒にお勤めをしようというお心をもたれたのは、紛れもなく如来さまのお働きに違いないと思わずにはいられませんでした。
満中陰(七七日)法要の際には、一緒に『阿弥陀経』をお勤めさせていただきました。
悲しみの中にも、阿弥陀如来さまのお慈悲が感じられ、少し心があたたかくなりました。