「聞いてこそ伝えられる」(上旬)熟年離婚の原因 (2006.12掲載-今回再度アップ)

ご講師:川村 妙慶 さん

アナウンサーとして学んだ「伝える」ということについて、お話したいと思います。

この伝えるということは難しいことです。

「聞く」ということが大切なのはもちろんですが、やっぱり自分の思いを伝えないとどうにもならないです。

じゃあ伝えるというのはどういうことかといいますと、それはやっぱり「言葉」なんです。

言葉というのは「こころの遣い」という意味なんです。

技術ではないんです。

そして、アナウンサーはいわば言葉のプロですから、言葉づかいについては、人生で一番得をしています。

でも、心で思ったことがそのまま言葉になるんです。

「そんな意味で言ったんじゃないのよ」と一生懸命に否定される方もいますが、日頃から思っている言葉がポロッと出るんです。

だから「こころの遣い」といいます。

それから、言葉というのはキッャチボールです。

言葉というボールを、相手の胸の中にそのまま投げてやって下さい。

その中でも使ってはいけない言葉はあります。

「きつい言葉」と「イヤミな言葉」です。

きつい言葉は相手を傷つけてしまいます。

言った方はスカッとするんですよ。

ボールでも強く投げれば、投げた方はスカッとします。

でも受け取った方はそのきつさが残ります。

ボールでも、壁にきつく投げると跳ね返ります。

それと同じように、きつい言葉を投げると、必ず相手から跳ね返ってきます。

せっかくなら、相手の胸にちゃんと届く言葉を投げてあげてほしいんです。

だから気をつけていただきたいのは、本当のことを言うと、人を傷つける場合があるということです。

正直なことを言えばいいというものでもないんですよ。

今、熟年離婚が話題になっているのは、皆さんご存知だと思います。

弁護士の先生が言われるには、熟年離婚は言葉が原因であることが多いそうです。

言葉がきっかけで「もうあんたとはやっていけん」ということになって、別れる方が多いという話です。

それには代表的なものが三つあるんだそうです。

あるとき、ご主人が仕事から帰って来ました。

奥さんは、夕食の準備が間に合わず、スーパーのお惣菜を買って、とりあえず器に盛りつけなきゃいけないと移してたんだそうです。

その現場をご主人が見ました。

そのとき、ご主人はひと言「お前、俺が仕事から疲れて帰って来たのに、この程度の料理しか作れんのか」と、見たままを言ったそうです。

そしたら奥さんが、やっぱりそのきつい言葉に対して言い返す訳です。

「私だってね、今まで会合やらなんやらで忙しかったのよ。なんでそんな言葉しか言えんのよ」とケンカになって、「もうあんたとはやっていけん」となるそうです。