葬儀と告別式は違いますか?

告別式という言葉が初めて使われたのは、1901年(明治34年)、中江兆民が死去した際です。中江は「死んだらすぐに火葬場に送って荼毘にしろ」と遺言したため葬式は行われませんでした。けれども、彼の死を悼んだ人たちによって青山葬会場(青山墓地)にて宗教儀礼による葬儀の代わりに無宗教葬が行われ、これを告別式といいました。

その後、葬儀の読経が終わった後、告辞や弔歌の朗読や弔電の代読などを告別式というようになりました。また、宗教儀礼である葬儀を行わず、参列者による故人への告別のみを行う「お別れ会」なども行われるようになりました。

けれども、近年ではその区別があいまいになり、葬儀=告別式と混同されることもあったりしますが、浄土真宗では、告別式とは言わず、葬儀または葬式といいます。

浄土真宗では阿弥陀さまのお誓いを大切にいただきます。それは、「すべてのものを必ずお浄土へ生まれさせ仏に成らせる」という誓いです。その誓いをいただくときに別れは無くなりますから、告別式という言葉は使わないようにしています。

三重県いなべ市の葬儀の時にいただく食事が特徴的だと紹介されていました。その地方は阿弥陀さまのお誓いを喜ぶ方が多いところです。お葬式にいただくのは、唐辛子汁とお赤飯。それぞれに大切に意味があります。まず、唐辛子汁は、涙が出るほど辛く、別れの悲しさを我慢することはありませんよという意味があります。次に、お赤飯には、亡くなられた方が阿弥陀さまのお誓いの通り、お浄土へ生まれ仏さまになられたことをお祝いしようという意味があるそうです。

別れの悲しさ寂しさの中にも、「よかったね。またお浄土で会えるね」という思いでのお勤めするのが、浄土真宗の葬儀だろうと思います。