年の暮れ 何気ない日常にこそ幸せがある

以前、夕方のニュースに、ある小学生の女の子が映っていました。その子は、重い心臓病を患い、補助人工心臓というもので命をつなぎ、臓器提供を待っていた女の子でした。家族や応援する方々の街頭での懸命な募金活動によって、なんとか手術費用は集まったようです。そして、ようやくドナーとのご縁に恵まれ、心臓移植が叶いました。手術が終わり、少し落ち着いたころに「今どんな気持ちですか?」と聞かれたとき、女の子はこう答えました。

 

「手術が終わったときは、嬉しくていっぱい泣きました。心臓の鼓動ってこんなにすごいんだな。心臓ってこんなに温かいんだなって、久しぶりに思いました。」

 

私は、この女の子の答えが忘れられません。恥ずかしながら、私は自分の心臓に対して、温かいと思ったことは一度もありませんでした。それは私がこの世に生まれてこの方、ずっと私に寄り添い、私を生かしてくれている存在であるからこそなのかもしれません。いわば、当たり前になっているわけです。しかし、この女の子にとって、それは当たり前のことではありませんでした。だからこそ、心臓が脈を打ってくれている、その有り難さに気付けたんだろうと思います。

 

これは何も、自分の身体だけに当てはまる話ではありません。私の身の周りに、当たり前に存在しているものなど何一つないはずです。幸せは外に探すものではないんだろうと、改めて気付かされました。内にある気付きこそが、本当の幸せへの第一歩ではないでしょうか。