風紀の乱れか世の中が変化したせいか、今はあまり聞かなくなりましたが「威儀を正す」という言葉があります。
なり、かたちをととのえ、作法にかなった立ち居振る舞いをすることをいいます。
この「威儀」という言葉は、『詩経』に基づく言葉で、礼式にかなった態度のことですが、仏教、特に曹洞宗の禅で大切にされてきたもので、「いいぎ」と読み、規律にかなった正しい立ち居ふるまいをいいます。
行(行くこと)・住(とどまること)・座(座すこと)・臥(ふせること)を「四威儀」といい、
それぞれに守るべき戒律が定められています。
したがって、「威儀」は日常生活での一切の行動をすべて含んでいます。
また、その一々が僧として正しく仏の法にかなっており、それを見て人が崇敬の念を起こさずにいられない態度のことを威儀即仏法(いぎそくぶっぽう)といいます。
もちろんこれは僧に限ったことではなく、今日の私たちが人として生きる上で、最も顧みるべきことかと思われます。