何気なくつかう言葉に
「肉眼」
があります。
肉眼はかたちあるものを見てとる眼のことであり、見るという意味が含まれています。
肉眼で見えない繊細なものを顕微鏡で拡大したり、肉眼で見ることが出来ない遠方のものを望遠鏡でとらえる。
このように
「見る世界」
の言葉として使われています。
肉眼は仏典に根拠があり、
「にくげん」
と読んで五眼のひとつとして教えられています。
この五眼とは肉眼に始まり、次に天眼、その次に慧眼、その次に法眼、最後に内面的世界に開かれた仏の眼を持つことを仏眼といいます。
また、五眼のそれぞれに優劣をつけないこともあります。
私たちは外見より内面、そして真実をみることが大切なことは道理として知っています。
しかし、外見に惑わされながら生きているというのが正直なところで、そのような私達の常用語として肉眼だけが使われているのは皮肉なことだといえます。