「がっこうのトイレに“はなこさん”がでるんだって。

「がっこうのトイレに“はなこさん”がでるんだって。

もぉこわくてはいれないよぉぉぉ。」

小学生の娘が言った。

「あら、今でも花子って名前の子がいるんだぁ。めずらしいね〜。」

わざととぼけて返事した。

「ちがう!“はなこさん”はオバケなんだよ。

トイレにだ〜れもいないのに、『はなこさ〜ん』てよぶと、へんじするんだって。」

ひと昔前に『トイレの花子さん』という映画にもなった、あの怪談話のことだと分かってはいたけど。

やっぱり今でもそういうの、あるんだ。

いつの時代になっても、何歳になっても、人は霊や霊魂、お化けといったものに恐怖を感じるものなのかもしれない。

目に見えないものに対して、恐怖や畏怖、驚愕の念を覚えるのは、ある意味自然なことなのかも。

「じゃ、さ、あなたが“はなこさん”をみたの?声を聞いた?」

「うぅん、○○ちゃんが話してたの聞いただけ…」

「ママさ、オバケのことはよくわかんないんだけどさ。

あなたがちゃんとオバケを見たり声を聞いたりするまでは、怖がらなくていいんじゃない?

もしかしたら、かわいいオバケかもしれないし、優しいオバケかもしれない。

本当は花子さん、いないかもしれない。

わかんなくない?会ってみるまで。

だから、怖いよ、怖いよ!すっごく怖い〜〜!!って思うのは、オバケに会ってみてからでもいいかもよ。

それまではさ、『オバケってどんなんだろ?いるのかな?いないのかな?』って思っとこぉよ。

ちなみに、ママは早くオバケに会ってみたいんだけど、この年になっても、まだ一度も会ったことないんだよね。

だから、ぜ〜んぜん、怖くなれないんだよ。」

娘は「ふ〜ん。」とだけもらして、しばらくしてから別の話をしだした。

小学生に“こわがるな”って言う方が所詮無理な話だろう。

だけど、気にかけない人もいるんだってこと、知ってもらうだけで充分だと思った。

これからの人生、たくさんのとまどうような場面に出会っていくことだろうけど、一緒に感じ、考え、話し合い、共に実践していける、そんな親でありたいと、心から思う。

できるかどうかは別として…。

とにもかくにも、

「我慢せず、ちゃんとトイレ行ってね!」

それだけは伝えておかないと!!

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