十月十五日と十六日で例年のごとく龍谷会の法要が京都東山の大谷本廟でご修行になられました。
龍谷会と申しますのは大谷本廟での報恩講のことで、三百年あまり前、大谷本廟の祖廟、拝堂が建立された頃から行われています。
ご存知の方も多いと思いますが、龍谷会では庭儀の列が組まれます。
御導師を中心に讃嘆衆、奏楽員、威従儀師等の諸役(中には上童子や持幡童といったお子さんが担う役もございます)が、集会所(読経所)から明著堂まで列を正して歩いていく作法です。
その庭儀の時に使用する履物が二つあります。
一つはご門主様、新門様がお履きになる葦草履(いぞうり)という履物です。
これは草鞋を大きくしたような履物で、集会所を出てから明著堂に着くまでの間に履かれます。
もう一つは浅沓(あさぐつ)という木でできた黒漆塗りの履物で、奏楽員が履きます。
同じく集会所を出てから明著堂に着くまでの間に履きますが、ごそごそ底を擦るようにして歩きます。
どちらも龍谷会の時以外はご本山で用いることはありません。
現在ご本山で使用されている履物にはこの二つの他に鯨魚(げぎょ)という履物があります。
これは毎年十二月二十日に行われる御煤払の時にご門主様がお履きになる物で、葦草履をもっと巨大化した草鞋です。