「一寸先は闇」のその先に 限りない光の世界がある

 「一寸」というとわずか3.3cm程ですから、それくらい先のことなら分からないことはないだろうという気がします。

けれども「やはりその通りだな…」という体験をしたことがあります。

日頃、キャスター付きの椅子に座って仕事をしているのですが、よく確かめもせず後ろ向きに座ったところ、気付いた時は視界に天井が映っていたということがありました。

 あまりにも勢いよく座ったために、キャスター付きの椅子は別方向に移動してしまい、そのままひっくり返ってしまったという訳です。

幸い、床に直撃した尾てい骨にひびや骨折はありませんでしたが、強打したために夜うつ伏せで寝始めても無意識に寝返りを打ってしまうので、朝までに痛みのため幾度も目が覚めて熟睡出来ないという日々がひと月余りも続きました。

 椅子に腰を降ろすその直前まで、その夜から熟睡出来ない「悪夢の日々」が始まることなど思いもよりませんでした。

まさに私にとって「一寸先は闇」であったといえます。

まだこの程度のことで済めば良いのですが、一瞬の事故や災害によって、それまでの人生が激変したり、最悪の場合いのちそのものを終えてしまう人もあったりまします。

 このように、私たちの未来は「闇」としか言い表しようのない「不確かさ」の中にあります。

しかも、このいのちはいつまで生きられるのか誰も保証してくれませんし、終わったらどこに行くのかもわかりません。

そのことが、しばしば日々の生活の中に不安の陰を落としてくるのですが、そのような私たちの生活に明かりを灯し、進むべき道を照らし、そして導いてくれる限りない光の世界を「浄土」といいます。