今月の
「世のなか安穏なれ」
という言葉は、親鸞聖人750回大遠忌法要に向けてのテーマとして掲げられている言葉です。
国の内外に争いの多い今日、そしていよいよ珍しくなくなってきた日本の銃社会。
まさに、怖い世の中にある現代に、聖人の言葉が時代を超え、今を生きる私たちへの痛烈な警鐘として、響いてきているような気がします。
この「世のなか安穏なれ」とは、宗祖親鸞聖人が晩年、門弟の性信房に宛てたお手紙の一節に出てくるお言葉です。
実は、この言葉の後には続きがあり
「仏法ひろまれかし」
と述べておられます。
したがって、如来さまのはたらきの上にあるお互いであることを、まず私たちは忘れてはなりません。
「世のなか安穏なれ」
と願われた親鸞聖人のお心の根底を成すものは、如来さまの計り知れない智慧と慈悲のはたらきに照らされ、包まれ、導かれて生きることにあったことでしょう。
如来さまの心、仏法に包まれる日暮らしにこそ、ご恩をよろこぶ源があり、おかげさまといただく人生が開かれていくのです。
いがみ合い、争い合い、悪者を探し出して攻撃するところには、世の安穏などありません。
仏法に照らされ、共に凡夫であるという自覚に生きるところにこそ大きな意味があります。
おかげさまと歩む姿となる時、親鸞聖人の願われる世の安穏が現成されていく力となるのでありましょう。