『浄土 還る家のあるありがたさ』

9月は秋のお彼岸の時節です。

「暑さ寒さも彼岸まで」といいますが、昼夜がほぼ一緒で、暑からず寒からず、太陽はほぼ東から昇り西に沈んでいきます。

このような好い季節に仏法に親しもう、と日本で始まったのが春秋の彼岸会の始まりです。

人として生まれ、仏の教えを聞かせていただき、正しい道を生き抜くときに、その終着点がお浄土です。

行き着くところ(お浄土)があるから正しい道が歩けるのではないでしょうか。

私たちの行き着くところ(帰る家)を想いつつ、仏の教えに出会えた事を喜び、お念仏申すことこそ彼岸の願いとするところではないかと思います。

『阿弥陀経』の中に「倶会一処」というご文が出てきます。

これはみないのちが一つ処で会うという意味です。

どこで会うのかと言いますと、それが仏さまの国、お浄土です。

たとえこの世で死に別れ、離れ離れになろうとも、阿弥陀様の教えを信じるもの同士、必ずお浄土でまた一緒になれるということです。

ああでもないこうでもないと、欲に惑わされ煩悩に寄り道ばかりしている私たちに

「こっちへ来いよ、こっちへ来いよ」

と常に呼びかけてくださる阿弥陀様のお心。

そのまことの教えの中に必ず帰ることのできる場所のあるありがたさを想うときに、ただただ感謝すると同時に、この人生を堂々と精一杯生き抜く勇気と力が湧いてくるのだと思われます。