『加護』

一般に加護とは、仏が力を加えて護ることを言い、目には見えない仏のはたらきを

「冥」

とするところから、知らず知らずのうちに仏の加護を蒙(こうむ)ることを冥加といました。

この冥加への御礼・報恩のための布施が冥加金ですが、近世には転じて、冥加金といえば営業や特種権益にかかわる公への税・献金を指す用語ともなりました。

仏の加護といえば、近時の加護への願いは、ただいわゆる現世利益を期待することにのみ心を集中させているように思われます。

仏の加護とは、決して背後霊のような神霊が周囲にあって人間の身勝手な要求を達成させるようなことではなく、私たちが正しく仏法を聴き、ただ、常に教えに導かれて生きる状態を指します。

このような意味で、加護とは真の仏道を歩む者のみに与えられるものであるといえます。