「阿弥陀さまと私」(上旬) この世の全ては

======ご講師紹介======

駒沢勝さん(こまざわ小児科医院院長)

☆ 演題 「阿弥陀さまと私」

6月のご講師は、こまざわ小児科医院院長の駒沢勝さんです。

 

昭和十七年広島県三次市生まれ。

岡山大学医学部卒業後、国立岡山病院小児科に勤務。

昭和四十八年から一年間、科学技術庁長期在外研究員としてニューヨーク州立大学アップステイトメディカルセンタ−小児科に留学。

昭和五十八年には、国立岡山病院小児医療センタ−第一小児科医長になられ、平成三年に

「こまざわ小児科医院」

を開設されました。

著書に『健康の子どもも日本一』などがあります。

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 私と阿弥陀さまとの関係は、海と波にたとえることができます。

海の表面には、いろいろな波があります。

大きな波もあれば、小さな波もあります。

荒々しい波もあれば、細かい波もあります。

さまざまにできたり、動いたり、止まったり、消えたりしています。

波がいろいろなことをしているその奥には、大きな海の動きがあります。

この海の奥の動きが、表面に波となって出てきているのです。

この波と海は、決して別々ではなく一体です。

波=海であり、海=波です。

そして、この例えでは、小さな波が私で、別の小さな波があなたで、大きい波が牛で、もっと大きいのが象で、もっと小さいのが犬でという具合ですが、このような様々な波が動くその奥に怒濤のごとく動く海の動きがあるように、この世の中のいろんなことが動くその奥で浄土の動き、阿弥陀さまのはたらきがあるのです。

この例えでは、海が涅槃(ねはん)、法性法身(ほっしょうほっしん)にあたります。

そして、海の動きが浄土なのです。

また、その海の動きの主が阿弥陀仏なのです。

波が出来るのも、動くのも消えるのも、みんな海の動きの表れであるように、この世の全ての動きというのは阿弥陀仏が動かす浄土の動きの表れなのです。

私の動き、私の存在の奥には、阿弥陀仏のはたらきがあります。

それは、地震という大きな波となって現れたり、火山という大きな波となって現れたり、台風のような荒々しいものとして現れたりいたします。

これらは全て波で、海の動きの表れであり、海の動きを浄土といい、その主を阿弥陀仏というのです。

地球がここにあるのも、自転公転をしているのも、太陽がずっと存在しているのも、北極星がずっと動かないのも、全て阿弥陀仏の操りの中にあるのです。

この世の一切のものが、浄土のはたらきの表れです。

私と阿弥陀仏というのは、決して別々ではないのです。

しかし、たいていの人は自分と阿弥陀さまとの関係を知らずに生きています。

むしろ自分は、自主独立の一つのまとまった生命体であると思っております。

自分で考え、自分をコントロールしていると思っています。

しかも無意識の中で、そう思っています。

けれども、これは事実に反しているのです。

海の動きの表れである波のようなものなのに、自分で動いていると思っているのです。

真実を知らないのです。

これを明かりがない、無明というのです。

無明とは、この根本的な真理を知らないことをいうのです。