原爆投下で被爆した親鸞聖人の銅像

先日、朝のNHKニュースを見ていると、国連本部で開かれているNPT(核拡散防止条約)の会合に参加するため、ニューヨーク市を訪れている広島や沖縄の高校生たち8人が、広島への原爆投下で被爆した親鸞聖人の銅像が安置されている現地の寺院を見学に訪れたということが報じられていました。

実は、広島で被爆した親鸞聖人の銅像が、ニューヨーク本願寺にあることは、このニュースを見て初めて知りました。

そこで、少し調べてみると、この銅像はマンハッンの西を流れるハドソン川沿いのリバーサイド公園近くのニューヨーク本願寺にあり、川の方を見つめながら立っているのだそうです。

この像は始めからニューヨーク本願寺にあったのではなく、昭和12(1937)年に広島市の本願寺広島別院に建立されたのだそうです。

その後、昭和20(1945)年8月6日、広島に原爆が投下された際、爆心地から約2?のところにあったため被爆してしまいました。

銅像には今でもその痕跡がはっきりと残っています。

その後、この像は広島市の平和公園にあったのですが、昭和30(1955)年「ノーモアヒロシマ」を世界に訴えるためニューヨーク市に移されたのだそうです。

テレビのニュースによれば、広島から参加した高校生の一人が、祖父から

「本当は自分がニューヨーク市まで見に行きたかったが、これまでその機会がなかったので、代わりに親鸞聖人の銅像を見てきてほしい」

との依頼を受けて訪れたということが紹介されていました。

見学した高校生は

「親鸞聖人の像が、海を越えて広島から米国まで来たのだなと思うと、すごく感慨深いものがありました。世界平和を願う心がニューヨークの人や、外国の人にも伝わってくれたらいいと思いました」

とコメントしていました。

「形は滅びても人は死なない」

という言葉があります。

親鸞聖人は、形の上では既に1262年に亡くなっておられます。

けれども、親鸞聖人ご自身も全く予期しない形で、その旅姿の銅像が異国の地に移設され、平和への願いを訴える役割を担っているというニュースを見た時、親鸞聖人は現代のニューヨ―クにおいても「今現在説法」しておられるのだな、と感じたことでした。

被爆した親鸞聖人の銅像を目にした人が興味を持ち、そのことが機縁となって、やがて親鸞聖人の明らかになさったお念仏のみ教えに出遇うこともあるのかな…とも思ったことでした。

また、是非そうなればいいなとも思った、とある日の朝のことでした。

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