『仏心ともに悲しみともに喜ぶ』(前期)

少し前、小学生のピアノの発表会を見る機会がありました。

一生懸命練習してきての本番ですから、子どもたちの緊張が伝わってきます。

その中で一人の女の子が失敗をしてしまいました。

女の子は今にも泣きだしてしまいそうです。

しかし、泣くのを我慢し最後まで演奏を終えました。

そして歯を食いしばり客席に一礼をして、舞台を降りると一目散にどこかへ走っていきました。

女の子は待っていたお母さんの胸元へ飛び込み、「お母さん」と大声で泣いていました。

世間には、悲しみや不安を素直に打ち明け、何も気にせず涙できる場所が少ないように思います。

阿弥陀さまは、私たちが嬉しい時も、悲しい時も常に抱きしめていてくださいます。

私たち一人一人が、阿弥陀さまの一人子であり、

「あなたが悲しい時は私も悲しい。あなたが嬉しい時は私も嬉しい、あなたは大切な存在だよ。」

と包み込んでくださいます。

そんな阿弥陀様の前だからこそ我慢することなく、喜びや不安や悩みをさらけ出すことができるのです。

女の子が「お母さん」と親の名前を呼んでいたように、私たちも「南無阿弥陀仏」と親の名前を呼ばせていただきましょう。