鏡に遇う 自分に遇う

「世界で一番恐ろしい生き物何ですか?」

と聞きましたら、実に様々な答えが返ってきました。

ライオン、ワニ、コブラ、世相を反映してか、ヒアリという方もおられました。

以前、ニューヨークの動物園にて、「世界で最も危険な動物」の展示がなされていたそうです。

その動物の説明には、

  • この動物は24時間ごとに19万匹の割合で増殖を続けている。
  • この動物は別種の動物を1匹残らず殺してしまった過去を持つ唯一の生物です。
  • この動物は今や地球上のすべての生命を消し去るほどの力を手に入れました。

と書かれていたそうです。

何の動物かと思いその檻に恐る恐る近づいてみると、中には大きな「鏡」が置いてあったのだそうです。

この動物園では、本当に恐ろしい動物は「人間ですよ、あなたですよ!」と伝えたかったのでしょう。

「仏法は私のこころをうつす鏡のようなものである」という言葉を、先人方は大切にされてきました。

鏡は鏡の前に立つものを偽りなく映し出すように、み教えにであうものは、私のありのままのこころのすがたを知らされるということです。

その動物園ですが、「世界で最も危険な動物」と書かれてある檻のとなりに行くと、そちらにも同じ鏡が置いてあったそうです。

「またか」と誰もが思わずニッコリ笑う顔がその鏡に映り、その檻には「世界で一番すばらしい動物」と書かれてあったそうです。

人間は唯一、鏡を見ることが出来る動物です。

鏡に映し出された私のありのままのすがたと、その私こそが救いの目あてであると呼び続けてくださる真実のはたらきに「気づいて」いけることにおいて、すばらしい動物と言えるのではないかと思います。

【確認事項】このページは、鹿児島教区の若手僧侶が「日頃考えていることやご門徒の方々にお伝えしたいことを発表する場がほしい」との要望を受けて鹿児島教区懇談会が提供しているスペースです。したがって、掲載内容がそのまま鹿児島教区懇談会の総意ではないことを付記しておきます。