「正信偈」とは、どのようなお経ですか?

「正信偈」は、浄土真宗の開祖親鸞聖人の主著「教行信証」におさめられている讃歌です。

「教行信証」は正式には「顕浄土真実教行証文類」といい、「教」「行」「信」「証」「真仏土」「化身土」の六巻からなり、浄土真宗のみ教えがあますところなく説かれた、根本聖典です。

その「行」巻の最後におさめられた「帰命無量寿如来」という御文からはじまる「七言六十行百二十句」の偈文(漢文によるうた)が「正信偈」であります。

現在、私たちが用いている聖典では、七行一句が一行ずつ並んでいますが、「教行信証」では二句で一行と数えますので六十行となっています。

「正信偈」の前には、

「釈尊のまことの教えにしたがい、また浄土の祖師方の書かれたものを拝読して、仏の恩の深いことを信じ喜んで、次のように「正信念仏偈」をつくった。」

とありますから、「正信偈」の正式名は「正信念仏偈」で、親鸞聖人自らつけられた名ということになります。

その意味は、

「正しく信じてお念仏させていただく偈(うた)」というような意味でしょう。

親鸞聖人ご自身も「正信偈」と略称で呼ばれている場合もあるので、「正信偈」でも間違いではありません。

ちなみに今日のように、日常のお勤めとされたのは、本願寺第八代宗主・蓮如上人の頃からだと言われています。

本来、宗教とか仏教というものは、僧侶もそうでない人も、男性も女性も、大人も子どもも、みんなでお参りし、みんなでお勤めし、みんなでご法話を聞く、そういうものであると親鸞聖人は教えてくださいました。

その聖人のおこころを、蓮如上人は「正信偈」をお勤めすることで共にいただいていこうとされたのでした。