その人の人生を勝ち組・負け組という言葉で言い表し、人生における価値観を勝ち・負けで判断する方に出会うときがあります。
そのような方に出会うと、人生は人それぞれで、決して誰かと比べるものではないと思うのですが、自分自身も時には「勝った」「負けた」と、心の中で一喜一憂したりする時があります。
『仏説阿弥陀経』というお経の中に、
池中蓮華 大如車輪 青色青光 黄色黄光 赤色赤光 白色白光 微妙香潔
という言葉が出てきます。
これは阿弥陀如来のお浄土を示された箇所で、「池の中には車輪のように大きな蓮の華があり、青い花は青い光、黄色い花は黄色い光、赤い花は赤い光、白い花は白い光を放ち、いずれも美しく、その香りは気高く清らかである」という意味です。
私たちはそれぞれ姿形も違いますし、考えや価値観も違います。
誰一人として、自分と全く同じ人はいません。
それを誰かと比較し、勝ち負けにこだわるような人生は、心が豊かで穏やかになることは望めず、常に誰かとの勝ち負けを気にしなければならない不安を抱えた人生といえるかと思います。
勝ち負けや優劣という比較の中で生きるのでなく、互いの生き方を認め合い、あるいは助け合う中で、それぞれの命を精いっぱい生きていく。
『仏説阿弥陀経』の言葉を通して、勝ち負けではない生き方に気づかせていただくことです。