「共生の時代」~No Charity, but a Chance~(後期)共生社会実現のために

大分県別府市は、観光の町、温泉の町といわれていますが、もう一つ「共生の町」をつけ加えましょうと市長に話しているところです。道路は歩道と車道と段差がないので車いす利用者には生活しやすく、タクシーに乗るとき車いす利用者が乗車拒否をされることもまったくありません。飲食店や娯楽施設等も障がい者への対応が進んでおり、銀行やスーパーマーケットで障がい者が働いています。働きやすいように設備がユニバーサルに工夫されているのです。

障がい者が各種社会活動を自由に行うためには、建築物や道路等における物理的な障害の除去など生活環境面における改善、環境の基盤づくりが必要です。今では当たり前になっている温水洗浄便座、テレビやエアコンのリモコンはもともと障がい者のために太陽の家で研究開発されたものです。

共生社会にするためには何が必要か。ハード面とともに健常者と障がい者の双方の理解が必要です。障がいのない方は、障がいのある方に対して厳しさをもって普通に接してください。障がいのある方は、感動される人から感謝される人になってほしいです。小さなことでも社会に役立つことが感謝されることになると思います。これは太陽の家の理念「No Charity, but a Chance ~保護より機会を~」とイコールであると私は考えています。機会を与えていただければ障がい者が社会から感謝される立場になれます。

双方に持ってほしいのは「できない」ではなく「できるために何をすべきか」という積極的な意思です。可哀想とか同情の気持ちがある限り共生社会は実現しません。

ハンディのない人たちもどこかで誰かに助けられています。ハンディのある者は助けられることがハンディのない人たちよりも少し多いだけです。社会が自然体になり、理解を求めなくても済むことが真の共生社会であり、そこで働き、納税者となるためにも企業の役割、社会的責任があると私は思います。障がい者だけの社会では意味がありません。失われた機能を数えるのではなく、残された機能を数え、それをいかに活用するか。企業も社会も活用できる場や提供できる場を広げ、No Charity, but a Chanceの気持ちを社会全体が持ってほしいと思います。