ハートフル講話録 3月「落語に観る日本人の美しい心」(後期) 仏さまはいつも見ていてくださる

江戸の町で繰り広げられた正直者3人のやりとりでした。本来なら教え諭す立場のお侍さんが、貧乏な屑屋さんから諭されるという逆転現象です。

今日はハートフル講演会にちなんで、はるか昔から伝わるお噺を披露しました。落語が仏さまの教えに沿うようにして伝わってきたということがおわかりいただけましたでしょうか。「何ごとも正直の頭に神仏」という言葉がありますが、馬鹿正直すぎてもいけません。人さまの温かい気持ちを素直に受けるという度量もなくてはいけないということも教えてくれる噺です。

この高木佐久左衛門というお侍さんは、ご先祖さまを大事にされ、きっと国元におられるときからいつも仏さまを拝んでこられたのでしょう。江戸屋敷勤めとなり、お茶をお供えし拝む仏像がなかったところに、清兵衛が仏像を持って通りかかったのでそれを求めた。千代田卜斎は、ご先祖がもしものときのためにと手だてしていたものを手放すほど不届きをしてしまったと反省するわけです。

いやいや、そこまで馬鹿正直にならずとも人の気持ちは大切にして受け取りなさいというやり取りでした。私たちがついつい忘れがちな、ともすれば正直者がバカを見るようでは本当に情けない世の中です。やはり仏さまがいつも見ていてくださる、この気持ちを子孫の代に伝え残していくのが、これからの私たちの役割ではないかと思います。今日この席にいらっしゃる皆さまは重々承知のことでしょう。

「自分の心の中には常に南無阿弥陀仏がある」と、今日はそんな思いを込めて、ふるさとの皆さまの前で一席申し上げられましたことを心より感謝申し上げます。