追悼 チャーリー浜さん 「きみたちがいて、ぼくがいる」

吉本新喜劇のチャーリー浜さんがお亡くなりになったという報道がありました。昔からとても大好きな芸人さんで、土曜お昼の新喜劇を見るたびに、その登場を心待ちにするものでした。

学生時代は京都に暮らしておりましたので、大阪の劇場にもよく足を運び、いつもテレビ越しに見ていたシーンを客席から初めて拝見できたときの嬉しさと高揚感は、20年以上経った今でもよき思い出です。当時劇場で買ったチャーリー浜さんのしゃべるキーホルダーを飽きもせず何度と鳴らし、それを聞いては一人ニヤニヤとしていた自分の姿を懐かしく思いだすことです。

代表的な持ちネタの一つで、チャーリーさんが舞台に登場してくる場面では決まって、「きみたちがいて、ぼくがいる」と言うと、舞台上の役者さんたち全員が転ぶというお決まりのギャグがあります。

新喜劇というお芝居の流れの中で、もちろんおもしろおかしくなるのですが、私にはそれ以上に、とても仏教の心を端的に表現した大変に味わい深い言葉としても聞かせていただいたことです。

仏教は「因縁生起(いんねんしょうき)」を説きます。すべての事象には、必ずそれを生んだ因と縁とがあり、それによってもたらされる結果とが複雑に関係しあい影響しあって、もちつもたれつの状態をつくっていくことを言います。

あなたがいて、私がいる。他の多くの命の恵みや、お世話になったたくさんの方々。物も環境も含め多くの「お陰さま」の中に、私がここに生かされている。これは仏教の基本的な考え方といってもよいかもしれません。

生涯芸人さんとして生きてこられたチャーリー浜さん。舞台を見に来てくださるたくさんのお客様、新喜劇を支える裏方さんや座員の仲間。周りの全てを大切に思うそのお人柄が、「きみたちがいて、ぼくがいる」との芸人人生を歩んでこられたのかもしれません。

たくさんの笑いと元気と、そして大切な心を教えていただきました。 合掌

【確認事項】このページは、鹿児島教区の若手僧侶が「日頃考えていることやご門徒の方々にお伝えしたいことを発表する場がほしい」との要望を受けて鹿児島教区懇談会が提供しているスペースです。したがって、掲載内容がそのまま鹿児島教区懇談会の総意ではないことを付記しておきます。