お盆にはどのような意義があるのでしょうか。

日本の夏の風物詩になっておりますお盆ですが、どのような意義があるのでしょうか。人によって色々な受け止め方があると思いますが、多くの人にとっては、先に往かれたご先祖様があの世から帰ってくる日、という事になっているのではないかと思います。

インターネット上で「お盆」を検索すると、ご先祖様が迷わないように迎え火を用意したり、早く帰ってこられるようキュウリで作った馬を飾ったり、またお戻りの際は送り火や精霊流しをする事が紹介されております。実際お盆の日にご先祖様が帰ってくるという受け止めは、とても有り難く大切なものだと思います。

ですが浄土真宗では、先に往かれた方々は阿弥陀仏のはたらきによって浄土の仏さまとして生まれております。そして、仏さまとなられた方々は、決して私たちと離れる事なく、いつでもどこでもご一緒して下さいます。お盆の時期だけ特別に帰ってくるという事ではなく、1年365日24時間ご一緒という事です。ですので、改まって迎え火やキュウリの馬などを準備する必要はなく、ましてや送り火とか精霊流しも必要ありません。

では、浄土真宗において、お盆の意義はどのようなものかと問われますと、それは、自分自身もこの娑婆世界との縁を尽きていくこと、そして先に往かれた方々と同じ浄土に生まれさせて頂くこと、そしてそのことを教えて下さった様々なご縁に手を合わせることにあるのではないかと思います。誰もが、必ずこの世との縁を尽きていく日がやってきます。そして、それがいつなのか分かりません。ですが、「決してそこで終わりではない」ことを、このお盆というご縁に寄せてお聞かせに預かりたいものです。

また、忙しい現代において、親戚同士で集まるという機会も少なくなっているのではないかと思います。一年の中で、お盆だけは集まりお互いの近況を報告し合うというのも大事なことではないかと思います。お盆を通して、生死の問題を自覚し、また人と人とのつながりを大切にするご縁にして頂ければ、とても有り難いことではないかと思います。