盆踊りの由来とは何でしょうか。

盆踊り…、誰もが耳にしたことのある言葉なのではなでしょうか。寺院や公共施設などの広場の真ん中にやぐらを立て、みんなでその周りを音頭に合わせて踊るのが一般的ではないかと思います。

盆踊りの由来は様々あると言われておりますが、私がお聞かせ頂いたものの一つにお釈迦様のお弟子である目蓮尊者のエピソードがあります。目蓮尊者はお釈迦様のお弟子の中でも特に優れているお方で、神通力とよばれる不思議な力をお持ちだったと言われております。その神通力はあらゆるものを見通す力であり、人々の未来を見通すことが出来たと言います。

ある日、目連さんがお亡くなりになった母親について何処に生まれているかを確認するべく、神通力を使います。てっきり天上界に生まれていると思っておりましたが、なんとそこにはおらず、餓鬼界と呼ばれる飢えの世界、貪り世界に生まれていたのです。目連さんは、餓鬼界で苦しみもがいている母親に心を痛め、たまらずたくさんの供物を捧げます。しかし、その供物は母親の目の前で炎となって燃え尽きてしまいます。困り果てた目連さんは、お釈迦様に助けを求めます。話を聞いてお釈迦様は、雨が強く降る時期に1つの場所で勉強に勤しんでいる僧侶達に供養をしなさい、そうすればあなたの母親は救われるでしょうと告げられます。目連さんは言われた通り、たくさんの食べ物や飲み物を僧侶たちに供養しました。するとその功徳によって母親は餓鬼界から解放されたと言います。そして、そのことを知った目連さんはとても喜び、また周りの人々も喜んで踊ったといわれております。それが盆踊りの由来になったというわけです。

餓鬼という世界は貪りの世界だと言われております。金銭や食べ物など際限なく欲しがり、結果として自らの欲につぶされていく世界と言えるかもしれません。そして、その苦しみから解放されていく、救われていくには、その逆の事に自分の身を捧げていく必要があるように思います。自分の物を手放していく、周りに施していく、与えていくということではないかと思います。

盆踊りに寄せて、周りの人々を大切にする、思いやる生活をご一緒に歩ませて頂ければ、大変に有り難いことではないかと思います。